メニエール病の発症

メニエール病と私

私はメニエール病という病気を患っています。
そのメニエール病の奮闘記みたいなものを、医療従事者としての立場から少しつづって行きたいと思います。

私がメニエール病を発症したのは、およそ20年近く前の20代後半の頃です。
20年間、発作の症状といつ発作が来るのかわからないという不安にさいなまれています。

一番初めに発作が起きた時の事は、今でも覚えています。
とても天気のいい土曜日の昼頃でした。
急に目の前の景色が、グルンと大きくゆっくり時計回りに1度回転しました。
その後、目の前の景色は回転していないのですが、頭の中がクルクルと回っている感じになり、千鳥足で何とか帰宅しました。 帰宅後、しばらくすると症状は治まり、何の病気なのか本で調べてみました。

初発の症状は、軽いめまいと耳鳴りです。
その症状を本で調べてみるとすぐにメニエール病という名前を見つけることができました。
当時はインターネットなどというものはありませんでしたが、症状に特徴があるので見つけることは簡単でした。

それでも、もともと立ち眩みがしやすい体質だったこともあり、そのまま治ってしまったのでメニエール病なんて考えすぎかなと思ってしまったのが、今を思えば失敗だったのかもしれません。

その後、数週間特に何事もなく仕事にも行き、夜は学校へ行くといういつもの生活を送っていました。
そして、いよいよその日が来ました。
日曜日の朝、横になってTVをみていると、やはりゆっくり大きくTV画面が回転し始めたのです。
一度経験しているから何てことないと高を括っていたら、一度目とは比べ物にならないくらい激しく頭の中が回転し始めたのです。
そして今度は、目の前の景色もまるでジェットコースターに乗っているかのように回転しはじめ、気持ちが悪くなり、近くのごみ箱へ嘔吐してしまいました。
その後も横になっていても、めまい、耳鳴り、気分不快が続き、ようやくその症状が治まったのが暗くなり始めた頃でした。
その間は、こんな症状が続くなら、死んだ方が楽だと思っていました。
経験のある方なら気持ちがわかってもらえるかもしれません。

そして、いわゆるこれがメニエール病の本当の発作だったのだと気づき、自分が疑いもなくメニエール病だと確信をしました。
しかし、メニエール病だと解り、頭の病気などの命に直接関わる病気ではないことと、総合病院のリハビリ助手の仕事をしていたたので、何かあればすぐに対応できるという安心感、そして何より、この病気に効果のある治療法はないという本の知識から、何もできないならと病院を受診することはしませんでした。

発作自体は、その後一度同じように大きくあったのと、それ以降は軽い症状が忘れたころに見られる程度だったため、時間が立てばまた治る、治療法はないんだと思いそのままにしていました。
でも、その陰に隠れて実は聴力が落ちて行っていたことには、気付いていませんでした。

今の時代ならインターネットですぐに色々な情報が手に入るため、そんな不注意なことはせずに済むのかもしれません。


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