生理痛の運動療法

リハビリ専門

骨盤が開閉する機能は、生理痛に深く影響を与えています。

そのため、骨盤の開閉機能を改善することは、生理痛を改善することにつながります。

生理が始まって2~3日の出血量が一番多い時期に骨盤は開きます。

その後、排卵日が近づくにつれ徐々に骨盤は閉まり、排卵日を過ぎると生理に向けてまた骨盤は開きます。

この骨盤の開閉にはプロゲステロンという体を緩める作用をもつホルモンが影響しており、排卵後、プロゲステロンが分泌されはじめることで、生理開始後2~3日目までの10日間は骨盤が開き、体全体が緩みます。

その後。20日間は骨盤が閉まり、体も締まります。

生理痛がひどい方の多くは、開くはずの骨盤が開く作用が弱かったり、あるいは閉じる作用が弱く開きっぱなしになっていたり、体が一番緩んでいる骨盤が開いている時期に過度のストレスを受けたりすることで生理痛をより悪化させる要因になっています。

そのため、骨盤が開いている10日間はしっかり体を休めてあげることも大切です。

また、骨盤の開閉は1日の中でも起きており、この骨盤の開閉には自律神経が作用しています。

朝目覚めると骨盤が閉まり、ランチの時には一時開き、その後仕事が始まると再び閉まり、夜から就寝にかけて再び開きベットで眠る頃には開ききります。

つまり、緊張すると骨盤が閉まり、緊張が緩むと骨盤が開きます。この骨盤が開くランチ頃に10分程度睡眠をとることで骨盤を開ききることができ、しっかりと体を休めることができます。

骨盤の開閉リズムが乱れている方は、どんなに眠ってもだるさが残ったり、むくみが出たり、体の不調につながります。

骨盤の動きは呼吸とも関係があり、一呼吸ごとに開閉を繰り返しています。

息を吐くと骨盤の上部が閉まることで骨盤の下部が開き、息を吸うと骨盤の上部が開き、骨盤の下部が閉まります。

これは、胸郭と骨盤をつなぐ筋肉が関係しており、息を吐くと胸郭が収縮して、骨盤の上部を閉めます。

逆に息を吸うと胸郭が広がり、骨盤の上部を開きます。

そのため、自律神経を整える働きもある腹式呼吸をすることは、心身をリラックスすることもでき、骨盤の開閉リズムをコントロールすることができます。

臨床で腰痛のひどい女性をリハビリするとき、骨盤の左右差と仙骨の前傾が強い方を多く見受けます。

骨盤の左右差とは、よく骨盤が歪んでいるという表現を使われる方もいますが、むしろ、骨盤の形が違うということの方が表現として正しいような気がします。

片方の骨盤が開いており、もう片方の骨盤が閉じているという感じです。

そのため、臀部から骨盤を触診すると寛骨の傾斜が明らかに違います。

女性には骨盤の形成不全が多く、変形性股関節症の多くの原因となっています。

股関節の痛みはなくともこの形成不全が潜在的に存在することで、骨盤の左右差が生じている方もいるかと思います。

また、よく股関節が硬いと生理痛に影響を与えるということが言われますが、股関節が柔らかい方にも生理痛がひどい方を臨床で経験することがあります。

関節を動かすものは筋肉であり、関節自体が一人で勝手に動くわけではありません。

必ず筋肉が作用します。

そのため、筋肉が硬いと関節の動きが悪くなります。

そして、筋肉が収縮しないと関節は動きません。

股関節を構成する筋肉の多くは骨盤に起始部を持ちます。

そのため、股関節、特に内外旋を行う筋肉は骨盤の開閉に大きな影響を与えます。

股関節の外旋は骨盤を開き、内旋は骨盤を閉じることに作用を与えます。

先ほど記載した股関節が柔らかくても生理痛がひどい方の多くが、股関節の内外旋筋の収縮不全があります。

また、生理痛のひどい方の特徴として、仙骨が前傾位にあります。

仙骨の後傾は骨盤を閉じ、仙骨の前傾が骨盤を開く作用があります。

この仙骨の傾きも股関節の筋肉が作用しており、腸腰筋と呼ばれる、股関節の前面にある筋肉が硬くなり、伸張性を失っています。

そのため、仙骨が前方へ引っ張られており、骨盤を前傾させ、骨盤を常に開いている状態にしています。

仙骨の位置関係を整えることも骨盤の開閉リズムを整える働きがあります。

生理的つまり生まれつきとして仙骨の形や大きさが決まっている部分もありますが、少なくとも筋肉が作用している要素についてはリハビリテーションをすることで改善することは可能です。

そのため、股関節の機能を改善する運動を行うことで、生理痛を改善して行くことは可能かと思います。

股関節の運動を利用した骨盤の機能を改善する運動をブログ内にて紹介していますので、実際に行ってみて下さい。骨盤への機能的なアプローチ

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