スモールステップの法則①

スモールステップ~夢をかなえるシンプルな法則

スモールステップの法則に基づいてリハビリのプログラミングを立てて行く事は、セラピストにとっても患者さんにとっても有効な手段です。

例えば、階段昇降ができないと家に帰れない患者さんがいたとします。
リハビリ室には階段昇降の訓練をする器具がありますが、その段の高さは通常使用されている階段の高さに合わせてつくられています。
多くの患者さんはその器具を使用して、介助を受けながら階段昇降を繰り返しています。
この方法を聞いた時、みなさんはこう思いませんか。

「誰にでもできる」と

「誰にでもできる」というのは、階段昇降を行う患者さんのことではなく、介助をしている側、もしくはこの訓練を立てたことについてです。
つまり、できない事をただ繰り返してできるようにすることは、理学療法士でなくてもできるという事です。
家族でも介護士でも看護師でも友人や知人でも誰にでも器具や施設があればできるという事です。
それは階段昇降に限ったことではありません。

ではスモールステップの法則を前提にプログラムを立案するならばどうすればいいのか。

階段昇降ができないということは、階段の高さがその患者さんには高いステップになるということなので、そのステップを単純に低くします。
1㎝の高さ、2㎝の高さ、3㎝の高さ・・・15㎝の高さの階段昇降が必要とするならば、15㎝まで1㎝ずつ高さを設定すれば、15のステップを組み立てられ、1㎝ずつ増やした段を徐々に高くして昇れるようになれば、15㎝の階段が昇れるようになるかもしれません。
15㎝の階段を繰り返し行う事は1つのステップしかありません。

15㎝の高さは患者さんにとって強い負荷でも、1㎝の高さの負荷は軽い負荷になり、容易にステップをクリアーできるかもしれません。
また、階段昇降の専用の器具がなくてもリハビリは可能になります。

介助を受けながらでも、必死に15㎝の階段昇降を繰り返す方法と1㎝ずつの低い負荷にすることで自力で階段昇降を行う方法では患者さんはどちらが楽に行なえるでしょうか。
そして介助をするのとしないのとではセラピストもどちらが楽な方法でしょうか。
考えなくても解るかと思います。

そして、どちらがより確実にリハビリの成果が生まれるでしょうか。

ただ、注意して頂きたいのは、細かすぎてもいけないということです。
1㎝を一段ずつとなると15のステップになります。
1㎝と2㎝の差をあえて設定することに意味があるでしょうか?
1㎝と3㎝だとどうでしょうか?
おそらく1㎝の差というのは多くの患者さんにとってとても簡単な課題になるかと思います。
簡単すぎる課題を繰り返すことについて、患者さんはどう感じるでしょうか。
「もっと高くても大丈夫」、「簡単すぎて他のリハビリがしたい」、「何度も何度も行って時間がかかる」など不満に思うかもしれません。

それではやる気をそぐ結果になってしまうかもしれません。
その方の能力にあった適度な課題設定というものが大切になります。

スモールステップの法則に基づいてリハビリのプログラムを立案するということは、リハビリのプログラムを細分化するということであり、その細分化する能力がそのままセラピストの能力になります。

コメント

タイトルとURLをコピーしました