整形外科クリニックに勤めて思うこと

リハビリテーションの啓発

私は18年間理学療法士としてリハビリテーションに従事しています。

その18年間は入院施設のあるいわゆる病院といわれる場所で勤めてきました。

病院でのリハビリテーションでは、整形外科疾患のみではなく呼吸器や循環器、癌、脳血管疾患、難病疾患など多くの疾患について経験をすることができました。

ですが、入院されている方の多くは70歳、80歳、90歳代の方達であり、小児病棟をもつ病院以外ではそれ以外の年齢の方達のリハビリテーションを担当することは多くありません。

そこで小学生高学年~中高生、大学生などのジュニア世代や40~60歳代の方達など多くの年齢層の経験をするために整形外科クリニックに勤めはじめることにしました。

整形外科クリニックに勤めはじめておよそ1ヶ月半が経ちますが、改めて感じていることをここでは書きたいと思います。

整形外科疾患で問題となるものは骨や筋肉、神経、靭帯や関節包を代表する軟部組織が主なものになります。

70歳代以上で一番問題になるのは骨の変形です。

おおよその場合、痛みの多くが骨の変形に起因しており、骨の変形はリハビリテーションでは治すことはできません。

つまり、70歳代以上の方達の疼痛コントロールには限界があります。

しかし40~60歳代やジュニアの世代では骨による変形は大きな問題ではなくなります。

つまり、痛みが骨以外の問題に起因しているため、疼痛のコントロールはリハビリテーションの結果如何で変わります。

そのため、リハビリテーションの技術が最も発揮されやりがいを感じます。

ただ、ジュニア世代の腰痛や肩の痛みを抱えている方のリハビリテーションをしてみると、実は70歳代以降の方が抱えているそれらの痛みの原因もさほど大きな違いがないことを感じます。

どういうことかというとやはりマルアライメントに起因するということです。

アライメントとは簡単に言えば骨の形や配列のことであり、マルアライメントとはそれの異常ということです。

ジュニア世代の腰痛も高齢者の腰痛も多くが骨盤の後傾や腰椎の生理的な前弯の増大や減少、股関節の柔軟性などのマルアライメントが原因となっているということです。

つまり、高齢者の抱えているマルアライメントの問題はすでにジュニアの世代から存在しているということです。

しかし、ジュニアの世代は成長期の段階であり、細胞が常に活性化されているため、高齢者ほど疼痛が問題になることはなく、おおよそ1~2週も安静にしていれば自然と治ります。

ですから、マルアライメントの問題は見過ごされやすくなります。

それよりもジュニア世代の多くはスポーツ障害が問題になり、スポーツ障害という観点からはマルアライメントが注目されます。

例えば、シンスプリントと言われる病態の原因は、扁平足というマルアライメントにあるということです。

ですが、そのスポーツ障害の原因となるマルアライメントも多くの方が大学生以降は競技スポーツから離れてしまうことで忘れさられていきます。

その忘れさられてしまったマルアライメントが実は退行変性が始まる年代、つまり老化がはじまる年代から徐々に問題が顕在化されていきます。

そしてさらに高齢になっていくことで骨の変形が増長され、マルアライメントも増大し不可逆性の疼痛変化になって行きます。

高齢者の予防医学は、実はジュニア世代からすでに始まっており、ジュニア世代にいかにマルアライメントに注意するか、マルアライメントを修正していくか、また運動習慣をいかに持続させていくかが実は大切であると感じています。

ですが中学生は痛みがなくなればもうリハビリには来ることがなくなります。

それよりも楽しいことがたくさんあるからです。

でも私はそれでいいと思います。

人生は楽しむことが一番です。

高齢になって痛みを抱える生活を送ることになったとしても楽しく生きていれば十分だと思います。

それにマルアライメントが必ずしも痛みに変わるとは限りません。

90歳になっても痛みがない生活を送っている方もたくさんいます。

40歳代でもしびれに悩まされている人もたくさんいます。

つまり老化という退行変性は人それぞれです。少しのシミやシワでも気にする方がいます。少シミやシワぐらいではまったく気にしない方もいます。痛みの感じ方も同じです。

若くても入れ歯になる人もいれば90歳でも全部自分の歯という人もいます。

痛みがあれば「治療をする」、「リハビリテーションをする」そのために医師やリハビリテーションに従事するものがいます。

私ができることはその世代にあったリハビリテーションをすることです。

色々な世代のリハビリテーションをすることで色々な自己研鑽をつむことが出来ており、こうしてまたしばらく書いていなかったブログも再開する気力がでてきました。

とてもありがいたことです。

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