骨盤に付着する筋肉は35種類あり、その筋肉一つ一つが骨盤の動きを規定します。
骨盤は、狭義には左右の寛骨と仙骨、尾骨で構成され、左右の寛骨と仙骨は仙腸関節でつながれています。
そして、これらの骨を固定するために、6つの靭帯と胸背筋膜があります。
骨盤を広義に捉えると、脊椎と股関節を含めますが、それを含めると、脊椎からは3つの靭帯が、股関節からは5つの靭帯が骨盤の安定化を図り、下肢や胸腹部からの筋膜もそれらを補います。
すべての範囲を紹介することは困難ですので、詳細は成書にてご確認頂ければと思います。
(参考:「ペルビック・アプローチ」 医道の日本社)
そのため、ここでは骨盤の動きと作用する筋肉についてシンプルにまとめています。
骨盤を前後左右に分けたとき、前側にある筋肉、後側にある筋肉、内外側にある筋肉に分けることで骨盤の動き方のイメージをすることができます。
その骨盤の前額面、矢状面の動きの複合で水平面の動きが作られますので、まずは前額面と矢状面を構成する筋肉をきちんと理解しておく必要があります。
骨盤の動きが悪くなることは、腰痛の原因になります。
また、動きが悪くなることで、加齢に伴う骨変形を助長するかもしれません。
骨盤の前傾作用
- 腸腰筋
- 脊柱起立筋群
- 腰方形筋
骨盤の後傾作用
- 大殿筋
- ハムストリングス
- 腹筋群
骨盤の挙上作用
- 腰方形筋
- 腹筋群
- 広背筋
骨盤の下制作用
- 中殿筋
- 小殿筋
- 大腿筋膜張筋
- 股関節内転筋群
腸骨の前方回旋
- 腸腰筋
- 大腿筋膜張筋
- 股関節内転筋群
- 大腿直筋
腸骨の後方回旋
- 大殿筋
- ハムストリングス
仙骨の屈曲・回旋作用
- 梨状筋
例えば、骨盤が前傾に変位している場合は、上に挙げた筋の短縮が原因になります。
筋が短縮しているとその反対側の筋は筋力低下を引き起こします。
左の骨盤が挙上していれば、当然右側の骨盤は相対的に下制します。
骨盤の機能不全を理解するということは、作用と反作用の仕組みも理解しないといけないため、複雑です。
また、筋肉一つ一つを箇条書きにするとシンプルに見えるかもしれませんが、大殿筋には上部線維と下部線維、腹筋群には腹直筋と内外腹斜筋、腹横筋とそれぞれ複雑になります。
股関節内転筋群も同様です。
先にも書いたように骨盤に付着する筋肉は多様ですので、一つ一つの作用を考えるとかなり複雑になります。
そこで私はDirectionアプローチという考え方でよりシンプルに考えられるようにしています。(Directionアプローチとは)
チェコの神経学者であり、リハビリテーション医のヤンダがマッスルインバランスという考え方を提唱していますので、そちらでも骨盤帯に作用する筋肉の影響について確認することができます。
ご興味のある方はご確認下さい。
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