腰の痛みに対するDirectionアプローチ③

リハビリ専門

腰の痛みに対してDirectionアプローチで捉えたとき、ここでは股関節の方向と痛みの関係について紹介していきます。
股関節の方向ということはどういうことか。

例えば、床に落ちたものを拾うために、かがんだとします。
股関節の屈曲に制限がある方は、床まで手が届かないかもしれません。
届かないままでは物は拾えませんので、どこかで代わりをします。
ある人は、膝を曲げて届くようにします。
またある人は腰をより曲げることで届くようにします。
ここでいう腰とは胸腰椎のことで、身体を曲げると表現した方が解りやすいかもしれません。

股関節の屈曲に制限がある場合

胸腰椎を過度に曲げないと物が拾えません。
胸腰椎には屈曲方向に力が加わります。

膝を曲げて届くようにすることは、重心の移動が多いため、負荷を強く感じます。
そのため、多くの方は身体を曲げて届くようにします。
床から物を持ち上げる時、膝を曲げて持ち上げないと腰を痛めるということは聞いたことがあるかと思います。
ですから、股関節の屈曲制限があると、より身体を曲げてかがもうとしますので、痛みが生じるということを理解することは簡単かと思います。

腰に痛みがある方の股関節の屈曲方向に制限があるかないかを見ていくことが、痛みを改善する第一歩になります。
股関節の屈曲を制限する因子は、主に股関節を屈曲したときに伸張される筋肉の伸張性低下が原因です。
股関節を屈曲した時に伸張される筋肉は、主に殿筋ハムストリングスです。
殿筋やハムストリングスのストレッチが、腰痛予防や改善に効果があると言われるのはそのためです。

では、股関節の屈曲が柔らかければ、腰の痛みが生じないかというと実はそうではありません。
股関節屈曲が柔らかい人でも腰の痛みを抱えている方は多くいます。
どうしてなのか。

股関節の屈曲が柔らかいと腰をより深く曲げなくても、床のものが拾えます。
極端に言えば腰つまり身体を曲げなくても良いということです。
そのため、腰や体幹を使う必要性がなく、年齢的な骨の変化とともに動きが悪くなっていきます。

股関節の屈曲が柔軟な場合

股関節が柔軟なため、身体を曲げなくても物が拾えます。
胸腰椎には伸展方向に力が加わります。

股関節の屈曲に制限がある方は動きが過剰になり痛みが生じ、股関節の屈曲が柔らかい方は不動により痛みが生じるということになります。

ストレートネックという言葉を耳にしたことがあると思います。
首の痛みや肩こりの原因などと良く言われます。
頸椎の生理的弯曲が減少している状態ですが、腰椎にもそれは起こります。
ストレートバックという言葉はあまり使われませんが、そのような状態です。
臨床的に股関節の屈曲が柔らかいのに腰痛がある方の多くは、腰椎の生理的弯曲が減少している方が多く見受けられます。
ストレートネック同様、ストレートバックを伴う腰痛の方が、リハビリに難渋することが多く、しびれなどの神経症状も重い印象です。

ここまでで、何となく股関節との動きの方向ということについて、理解することはできましたでしょうか。
またいずれ股関節の方向ということについて、紹介をしていきたいと思います。
そして、痛みを改善するためのリハビリテーションついても紹介していきます。

事前に紹介しましたDirectionアプローチで行う運動を行うだけでも症状に変化は起きますので、まずはそちらからアプローチしてみて頂ければと思います。(Directionアプローチで行う運動

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