ここで紹介するバランスとは、平衡感覚などのバランスではなく、筋肉のバランスということを紹介します。
筋肉のバランスが崩れると、痛みを引き起こすとういことは何となく耳にしたことがあるかと思います。
筋肉のバランスが崩れ、肩甲骨や骨盤の動きが悪くなることは、肩の痛みや腰の痛みを引き起こします。
その筋肉のバランスの崩れは、筋の緊張や萎縮、筋力低下などで起こり、それらは骨の変形を助長し、経年とともに不可逆的な機能不全を引き起こします。
骨棘と呼ばれる骨の変形はその典型です。
骨の変形は加齢に伴う骨実質の変化(骨粗しょう症など)だけではなく、筋による経年の伸張ストレスでも起きます。
一度起きてしまった骨の変形は理学療法でも元に戻すことはできません。
それはカイロプラクティックや整体などでも同じです。
加齢に伴う骨実質の変化は、自分ではどうしようもない部分がありますが(年齢や性別、遺伝的な要素など)、少なくとも筋の作用による骨の変形は自己の努力で予防できるかもしれません。
筋力の低下は筋肉が硬くなることでも起き、筋肉が柔らかくなることでも起きます。
筋の緊張といいますが、筋肉は適度な緊張がある状態が一番筋力を発揮します。
そして、持続的な緊張状態が続くと筋肉は硬くなり、関節に作用する筋のバランスが崩れ、関節の動き方に柔軟性がなくなります。
ですが、マッサージやストレッチなどで筋の硬結を改善したり、伸張性を改善すれば良いかというとそうではありません。
マッサージやストレッチなどでは、他動に筋肉の緊張を緩めることができても、その緩めた緊張を維持することはできません。
なぜか?
筋の硬結や伸張性の低下は、日常生活の中である一定以上の負荷がかかるために生じます。
つまり、自分では気づかない負荷がかかっている(関節の機能不全など)状態を治さなければ、日常生活を送っているだけで筋の硬結や伸張性の低下が引き起こされます。
良く患者さんから、「針はどうですか」、「整体はどうですか」と聞かれますが、やってもらった後は良いですが、ベッドから起きた時、立ち上がった時から、元に戻ります。
なぜもとに戻るのか、筋肉の動きを治していないからです。
理学療法士と整体師やストレッチを施術する方達との違いはそこにあります。
理学療法士が行うのは運動療法です。
運動をすることで筋肉の動きを治し、痛みや機能を改善します。
自分の筋肉を自分で動かすことで初めて筋肉の緊張や伸張性を維持することができます。
運動をすることが大切なのはそのためです。
自分でやらないと自分の身体の機能を維持することはできません。
自分の努力の積み重ねが大切です。
筋肉が硬い所はストレッチなどで緩め、緩めた後は運動をする。
筋肉の緊張が低い部分は運動をすることで緊張を高めます。
運動とはただ身体を動かすことではなく、筋肉がどのように作用しているのか考えて運動することが大切です。
理学療法士の仕事は病気やケガなどを通じて、それらを患者さんに指導・教育していくことです。
日常生活を送るということは、自分の前側で動作をほとんど行います。
つまり、自分の後ろ側の動作はほとんど行われません。
理学療法士の専門的な指導がなくても、自分の後ろ側の筋肉を意識して運動を行うことでバランスを整えることが簡単にできます。
難しく考えず、ラジオ体操などで自分の後ろ側へ動かす運動を思い出して見てください。
また、私が紹介している運動は、バランスを整える運動としても行う事が可能ですので、参考にして頂ければと思います。(Directionアプローチで行う運動)
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