膝の痛みに対するDirectionアプローチ③

リハビリ専門

膝関節の痛みに対してDirectionアプローチで捉えた場合荷重をかけた時の方向をみる必要があります。

荷重の代わりに足部から徒手で抵抗を加えることで、荷重時に膝関節へかかる方向をみていきます。

荷重時にかかる誤った膝関節の方向

α:荷重時の反力の方向
A:骨盤の方向(下制)
B:膝関節の伸展の方向

膝関節が伸び切らないうちに骨盤を下制させることで膝関節を伸ばそうとします。

荷重時かかる正しい膝関節の方向

α:荷重時の反力の方向
A:骨盤の方向(挙上)
B:膝関節の伸展の方向

膝関節が伸展するのと同時に骨盤が挙上します。
あくまで骨盤の挙上は膝関節が伸展した時のスペースを生むために挙上しています。

膝関節に痛みのある方や、何らかの理由により膝関節を伸展する力が弱い方は、徒手で抵抗を足部から加えると、骨盤が足部方向へ移動します。
骨盤を下制する力で膝関節の伸展を代償します。
そのため、骨盤を下制することが困難な状況になると、膝関節を伸展する力が弱くなり動けなくなります。
例えば、端坐位から立ち上がるなどでは臀部が座面に接触しているため、骨盤を下制する代償ができなくなり、立ち上がれないということが起きます。
その時、大抵のセラピストは膝の伸展筋力が低下しているからとだけ捉えてしまいます。
そして、膝関節を伸展する力をつけるリハビリを行いますが、なかなか立ち上がりの動作が改善しないという場面を目にします。

では、膝関節をしっかり伸ばす事ができる筋力がある方は、徒手で抵抗を加えた時、どのような方向が加わるでしょうか。

骨盤は下制するのではなく、挙上します

実は当たり前の反応なのです。
徒手での抵抗であれば、徒手で抵抗を加えているために、抵抗よりも強い押し返す力が加えられれば、膝関節が伸びるためのスペースが生まれますが、歩いているときはどうでしょうか。
地面を押しつぶすなど地面の方向に膝関節が伸びるためのスペースを作ることができるでしょうか。
歩いている時に膝関節が伸展できるのは骨盤が挙上しているから、膝関節をしっかり伸展して歩くことができるのです。

徒手で抵抗を加えたとき、膝関節の痛みがない方や、膝関節を伸展する力が強い方は、膝関節を伸ばすことで骨盤の頭部方向への移動が生じます。
あくまで骨盤自体が挙上することで膝関節の伸展できるスペースを生み出しているのではないので注意が必要です。

リハビリでは、まず抵抗を加えることなく、踵からしっかり足を伸ばしてくるように運動の方向を再学習させます。
骨盤の下制を起こさせないように膝関節を伸展する学習をさせ、抵抗を加えることで、学習したことが実際に行えるようになっているか確かめて行きます。
徐々に徒手抵抗の力を強くし、正しい運動方向へ運動が行えているか確認をします。
多くの方は運動時の痛みがありませんが、運動時に痛みがある方は、抵抗を弱めて運動を繰り返したり、再学習を繰り返していくことで、痛みがなくなる場合がありますので、痛みの様子を確認しながら行ってください。

良く「足腰が悪くなる」などと、足と腰を同時に言い表したりしますが、その通りで、腰が悪くなれば足も弱くなり、足が弱くなれば腰も悪くなるのです。

膝関節は蝶番関節のため、関節構造的にはシンプルなのですが、方向学的には複雑な関係性を持っているため、注意が必要です。

膝関節の痛みに対して、Directionアプローチで捉えた時の方法を股関節や骨盤から捉えた方向ということで3回にわたり紹介してきました。
膝関節の痛みを方向学的捉えた時、足部からどういう方向が加わるのかを考える必要もります。
多くの場合、紹介した方法で痛みが改善することが多いですが、足部からのアプローチについても紹介した内容を参考に考えてみて頂ければと思います。

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