石灰が沈着しているってどういうことですか?

リハビリ一般

肩の痛みの原因の一つに石灰沈着性腱板炎というものがあります。
そのため、医師から石灰沈着性腱板炎という診断を受けた方がリハビリテーションに来た際によく質問されます。

ではなぜ石灰が沈着するのでしょうか。
また、石灰が沈着するということはどういうことなのでしょうか。
沈着した石灰はどうなるのでしょうか。
そのことについて詳しく医師から説明を受けないことがあります。

人の身体は、筋・腱などの組織が損傷を起こすと損傷した組織を修復しようとします。(組織損傷と修復過程
損傷した組織が修復していく過程で、なんらかの原因によりカルシウムが沈着して修復していくことがあります。
なんらかの原因と言いましたが、明らかな原因が特定できている訳ではありません
石灰化とともに骨棘というものもあり、骨棘の形成により痛みが生じることがあります。
それも明らかな原因はありません。
ただ、両者に言えることは、自然な生体反応であり、それ自体に問題があるわけではありません。
痛みという侵害刺激が生じることで、動作や日常生活を困難にすることが問題になります。

そもそも、カルシウムが生体に起こす役割というものは何なのでしょうか。
そのことを理解すれば、少しは石灰が沈着するということに理解を深めることができるかもしれません。

カルシウムは、生体内に最も多く存在するミネラル成分で、その99%はリン酸と結合したリン酸カルシウム(ハイドロキシアパタイト)として骨や歯を形成しています。
残りの1%は血液、筋肉、神経などの軟部組織にイオンや種々の塩として存在しています。

カルシウムの役割は、骨や歯の主要な構成成分としてだけではなく、細胞の分裂・分化、筋肉収縮、神経興奮の抑制、血液凝固作用の促進などがあります。
この役割をみただけでも、カルシウムが持つ生体内の作用が重要なのはご理解頂けるかと思います。

カルシウムは主に小腸で吸収され、吸収されたカルシウムは細胞や血液中に一定の濃度で保持されます。
そして、副甲状腺ホルモンや甲状腺ホルモンなどの関与によって、腸管での吸収、血液から骨への沈着、骨から血液への溶出、尿中への排泄などが制御さています。

つまり、カルシウムの濃度を一定に保つための機能になんらかの障害が起きれば、そのバランスが崩れ、過剰になったり、減少したります。
減少すれば、骨や歯が弱くなり、カルシウムが持つ生体に作用する役割も弱くなります。
また、過剰になれば、高カルシウム血症、高カルシウム尿症、軟組織の石灰化、泌尿器系結石、前立腺がん、鉄や亜鉛の吸収障害、便秘などの様々な健康障害が起こります。

タンパク質など、一日に摂取したほうが良いと推奨されている摂取量というものがありますが、カルシウムにもあります。
多くの場合、通常の食事をしているだけでは不足しています。
そのため、普通の食事を摂取している分には過剰になる心配はありませんが、骨粗しょう症の予防などで、自らカルシウム強化食品やサプリメントを使用する場合には注意が必要です。

人の身体にはリモデリングという作用があります。
古いものを新しいものに作り変える作用です。
ただ、年齢とともにその作用が低下していきます。
リモデリングをする際に、古い組織は吸収され生体の外に排出されたり、必要なものは再利用されます。
リモデリングは、組織をミネラルなどの体内で移動できる成分に分解をすることで行われます。
石灰化した組織もミネラルなどの成分に分解されれば、体内を移動し、体外への排出が可能になります。
つまり、石灰化した組織再吸収されれば無くなります。
ですが、より石灰化が進めば、外科的な処置が必要になりますので、早めに治療をする必要があります。

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